感染症の概要について分かる!感染経路から病院が使う治療薬、消毒薬について

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感染症の病室

私たちの体にはたくさんの細菌が住んで共に暮らしています。知らないうちに細菌に触れて入って来ますが、私たちの免疫がそれを阻んで守ってくれています。

しかし、その均衡が壊れると細菌が侵入増殖することで、感染してしまいます

時には、感染していても気づかずに治癒する老不顕性感染と呼び、症状が現れる感染を顕性感染と呼びます。

一般的に、私たちは、ある程度決まった菌が決まった部位に存在してその定着菌も利用しながら、免疫機能とバランスをとってその他の細菌の侵入を防いでいます。

皮膚が第一の防御の要で、弱酸性により細菌の繁殖を抑えること、汗で殺菌してしまう作用があります。

また、消化器官呼吸器官は触れる菌やウイルスに触れやすいところはしっかりと粘膜で覆われて守られています。

補足:鼻水、痰(たん)、胃液などは菌を侵入させないようにする仕組みの一つです。

それでは、感染症について見ていきましょう!

病原体の感染経路はどこから?

細菌やウイルスはどうにかして人に寄生して(適応)して自分達が生きたいと思っているため、多彩な方法を使って侵入して細胞内で増殖したり、栄養を私達からもらっています。

●空気感染

空気中に浮遊できるサイズ3〜5um以下(1umは1000分の1mm)を吸い込むことで感染します。乾燥や温度に強い特定の細菌やウイルスは呼吸器系や皮膚に症状をきたすこともあります。人が密集している空間で感染しやすいです。

例 結核、はしか、水ぼうそうなど

●飛沫感染

咳やくしゃみなどで飛び散った中にウイルスや細菌が混じっていて鼻や口から吸い込むことで感染します。

例 インフルエンザ、ムンプスウイルス(おたふく風邪)、風疹、マイコプラズマ肺炎、百日咳、髄膜炎菌性髄膜炎など

●接触感染

直接皮膚や粘膜と接触するまたは、間接的にウイルスや細菌がついた服やタオルを共有することで感染します。

例 性病、ノロウイルス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クリストリジウム・ディフィシル、ロタウイルスなど

●経口感染

病原菌が増殖した食べ物を食べると感染します。カレーやお昼に食べるお弁当がそれに当たります。

例 食中毒(黄色ブドウ球菌、O-157など)

●動物感染

感染した犬や猫などから感染します。最近は、いろいろなペットを飼っている人がいるので、飼育には注意が必要です。

例 狂犬病、猫ひっかき病など

●垂直感染

病気を持っている母親から胎児や赤ちゃんへ感染します。

例 エイズ、B型肝炎など

感染し、発症すると様々な症状がでますよね。風邪くらいなら薬なしでも問題なさそうですけど、中には重症化する場合もあります。次に、病原体をやっつける薬について見てみましょう。

感染症に対する様々な薬について

病原体や悪性腫瘍の増殖抑制や死滅を目的として使ういわゆる薬のことを正式名称で、化学療法薬と呼びます。

その中でも、感染症の予防や治療に用いられる薬を抗感染症薬、ガンなどに用いる薬を抗悪性腫瘍薬といいます。

抗感染症薬には、病原体によって呼び方が変わります。

細菌→抗菌薬(抗生物質、合成抗菌薬)

・ウイルス→抗ウイルス薬

・真菌類(カビ)→抗真菌薬

抗菌薬とは?

細菌に作用する抗菌薬はさらに抗生物質と合成抗菌薬に分かれます

抗生物質とは、微生物が産出する物質によって周りの細菌たちの発育を阻害する物質で作られた薬で、ペニシリンが世界初の抗生物質です。

合成抗菌薬とは、微生物由来ではなく化学合成によって作られた薬です。

抗菌薬は生体と細菌の構造上の違いによって私たちに有害な作用が少なく、細菌の発育や死滅させる作用をもつ薬です。主な作用としては以下です。

・細菌の細胞壁阻害作用(細菌には細胞壁があります)

・細胞膜阻害作用

・たんぱく質阻害作用

・核酸合成阻害作用

・葉酸合成阻害作用

抗ウイルス薬とは?

ウイルスは単体では存在することができません。必ず感染した宿主の代謝系を利用して増殖します。

そのため、ウイルスを死滅させるには、私たちの細胞を殺さなければいけないことと、ウイルスが侵入している細胞だけ選択的に死滅または、増殖を抑制することは困難です。

しかし、ウイルス由来のたんぱく質や酵素をターゲットにすることで、ウイルスを間接的に選択することが可能です。

但し、直接ウイルスを死滅させる効果はありません。抗ウイルス薬では、主に以下の作用をしています。

・ウイルスの侵入阻害

・脱穀阻害

・DNAとRNA合成阻害

・組み立て成熟阻害

・遊離阻害

つまり、増殖をさせないように阻害することと、ウイルスを寄生した細胞内に閉じ込める作用があると思ってください。

抗真菌薬とは?

真菌類は人間と同じ真核生物なので、細胞の構造が似ているため有用な抗菌真菌薬の開発が困難で治療薬も限られていました。

しかし、近年の技術開発により、新しい抗真菌薬が開発されて、薬剤の特徴を生かした臨床で使用することができるようになりました。主な作用としては以下です。

・細胞壁合成阻害作用

・細胞膜への直接的障害作用

・細胞膜合成酵素阻害作用

・核酸合成阻害作用

化学療法薬を使用する上での問題点

世界で初めてペニシリンが開発されてから今では、数え切れないくらいの抗菌剤があります。

抗菌剤を使用することによって画期的に医療が進歩しました。抗生剤を使うことによって「耐性菌」という、新しい問題に直面しています

今でも新しい抗菌剤開発のためにたくさんの時間とお金をかけていますが、相対的に開発が遅れています。

耐性菌対策をするために、今私たちが使っている抗菌剤を適切に使うことが求められています。まとめると、以下になります。

・適切な抗菌剤の選択すること

・投与量・投与期間を最適にすること

・安全性に配慮して感染症を治癒させること

・科学的根拠に基づいて使用すること

大きい感染症病院

今の医療機関では、抗菌剤の薬剤モニタリング(TDM)の実施や抗菌薬を持つPK—PDの特徴を理解して行われています。

薬剤モニタリングとは、臨床薬物動態学の観点から血中の薬物濃度を測定して治療方針を決め、薬物の治療効果や副作用を確認しながら適切に薬物投与を行う手法のことを言います。

PK—PDとは、薬物の用法・用量と血中濃度推移の関係(PK)と薬物の生体での濃度との関係(PD)のことをさします。これらを総合して定量的に評価することで薬物の効果をみて科学的に適切な薬物治療ができます。

このような取り組みはもちろん大切ですが、菌やウイルスに感染しないためには数を減らして予防することが一番簡単で効果的です。

医療機関での滅菌(めっきん)と消毒

滅菌とは、すべての微生物を殺滅させるまたは、完全に除去するいわゆる無菌状態のことを言います。

他方、消毒とは、生存する微生物の数を減らすために用いる方法で、低水準消毒薬、中水準消毒薬、高水準消毒薬と分類されています。

●低水準消毒薬

ほとんどの細菌やウイルス真菌を殺菌できますが、結核菌や芽胞菌は殺菌できません。人体に比較的安全性が高く幅広く使うことができます。

例 両面界面活性剤、クロルヘキジン

●中水準消毒薬

芽胞菌以外の結核菌、多くのウイルス、真菌を殺菌します。器具及び人体、環境に使用できるものがあります。

例 次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、ポビドンヨード

●高水準消毒薬

芽胞菌が存在する場合を除きすべての微生物を殺菌します。人体や環境には使用してはいけません。安全性の問題があるため換気など使用に要注意です。

例 グルタラール、フタラール、過酢酸など

滅菌と消毒の方法は大きく分けて物理的方法と化学的方法に分かれます。

・物理的滅菌方法

加熱法として高圧蒸気滅菌(ⅰ)、乾熱滅菌

照射法として放射線法、高周波法

濾過法(ろかほう)

・化学的滅菌法

ガス法、酸化エチレンガス法(ⅱ)、過酸化水素ガスプラズマ法(ⅲ)

・物理的消毒法

加熱法として、煮沸消毒(しゃふつしょうどく)、熱水消毒(ⅳ)

紫外線法として、紫外線殺菌

・化学的消毒法

薬液法として、消毒液(ⅴ)

(ⅰ)高圧蒸気滅菌は短時間で確実な滅菌が可能で残留毒性がなく経済的で広く使用されている滅菌方法です。

(ⅱ)酸化エチレンガス滅菌は低温で滅菌できるため、非耐熱性の医療用器材に使用できます。時間がかかることと残留毒性があることがデメリットです。

(ⅲ)プラズマ滅菌は金属やプラスチック製品の材質への影響が少なく安全性も高いです。デメリットは、セルロース類や長くて狭い形の管腔構造は滅菌しにくく、包装材が限定されることが挙げられます。

(ⅳ)熱水(65〜100℃)は多くの微生物を消毒することができます。リネン類には熱消毒が80℃10分と規定されています。熱消毒では、細菌類で一番やっかいな芽胞菌以外の微生物には有効としています。安価でかつ残留性もないので、医療用器材や物品の消毒に適しています。

(ⅴ)アルデヒド系、塩素系、ヨウ素系、アルコール系、フェノール系、第4級アンモニウム塩、両面界面活性剤、ビグアナイド系、過酸化水素系などがあります。

医療機関では抵抗力の弱い人や病気の人がいる場所なので、集団感染が起きると重症化してしまいます。なので、いろいろとレギュレーションが厳しく決まっています。

感染症予防のスプレー

まとめ

私たちは本来細菌やウイルスなどから侵入されないように物理的に守られています。また、侵入されたとしても白血球などの免疫系がやっつけるように進化しています。

それでも、たくさんの病原体に侵入された時には、発症してしまいその時には、病原体に合わした抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌薬などを使用します。

しかし、薬を使い続けると病原体も進化するチャンスを与えてしまい薬の効果がなくなってしまう問題もあります。

なので、滅菌や消毒をすることで、体内でなく対外でやっつけることが予防に一番効果的です。

以上、感染症の概要について分かる!病原体の感染経路から病院が使う治療薬、消毒薬についてでした。

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