ウイルスは生物ではない!ウイルスの構造から増殖のプロセスについて

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【追記2018年10月16日】

ウイルスの構造と増殖

世界で初めて発見されたウイルスは1898年で、動物では口蹄疫ウイルス、植物ではタバコモザイクウイルスが見つけられました。

しかし、ウイルスが小さすぎたため光学顕微鏡ではとらえることができませんでした。そのためウイルス(タバコモザイクウイルス)を初めて見ることができたのは1935年で、電子顕微鏡によって観察されました。

生き物は細胞を持っていなければならないと決められたため、生物学上ウイルスは生物ではなく単なる物質(物体)とされています。

ウイルスの構造とは?

ウイルスはとてもシンプルな構造をしています。遺伝子情報を持った核酸とそれを包むカプシドというタンパク質できた殻で作られています。

ウイルスを大きく分けると二種類の構造があります。核酸とカプシドのみ持つウイルスを「ノンエンベロープウイルス」と呼び、カプシドの周りにさらにエンベロープという膜を持ったウイルスを「エンベロープウイルス」と呼びます。

エンベロープとは「envelope」で、手紙に入れる封筒のことを指し、そこからが由来です。このエンベロープは、ウイルスが作り出すタンパク質とウイルスが感染した宿主の細胞膜が混在して構成されています。

核酸とは、DNA(デオキシリボ核酸)RNA(リボ核酸)があり、それらの遺伝子が親から子へ、細胞から細胞へと伝えていく設計図となっています。(DNAを持つウイルスをDNAウイルスと呼び、RNAを持つウイルスをRNAウイルスと呼びます。)

これらの設計図がなければウイルスの重要な構成要素のタンパク質も作ることができません。

私たち人間の体には10万種類を超える違った役割を持ったタンパク質が存在します。タンパク質には触媒の作用があり、自身のタンパク質に変化はないですが、体内で行われる化学反応を促進させる役割があります。(酵素と呼ばれるタンパク質)

他にも、体外からの病原体から守る役割がある抗体、肌のハリに関係があるコラーゲン、血液中で栄養素を運ぶ物質もタンパク質からできています。

一方ウイルスには、たくさんのタンパク質があるわけではなく何種類〜1000種類程度で、ウイルスが生存するために必要な最低限度のタンパク質しかもっていません。

ウイルスの増殖のプロセス

ウイルスは自分だけでは増殖することはできません。宿主の細胞の中で増殖する必要があります。その増殖プロセスについて詳しく見ていきましょう。

1 吸着

ウイルスが感染する細胞の表面にウイルスがくっつきます。エンベロープウイルスは表面にくっつくためのタンパク質を持っています。

ノンエンベロープウイルスは、カプシドの表面に宿主細胞膜表面のタンパク質と結合できる部分がありそこに吸着します。

2 侵入

細胞に吸着した後、その内部へウイルス、またはウイルスのDNA、RNAが入りこみ侵入します。ウイルスそのものが細胞内に取り込んだり(エンドサイトーシス)やエンベロープと細胞膜が合体し(同じ資質二重膜)中にタンパク質と核酸が内部に侵入したりします。

補足:バクテリオファージはこのプロセスはありません。直接DNAを注入しているからです。

3 脱穀

細胞の仕組みを利用でしか増殖できないため、タンパク質の殻を壊し、ウイルス自体の核酸を細胞質内に放つことを脱穀といいます。

エンベロープウイルスの場合細胞質に存在するリソソーム(タンパク質分解酵素)などを使いカプシドを分解し、中の核酸を細胞内に放っています。

4 合成

ウイルスのDNAやRNAが持つ遺伝情報をもとにウイルスのタンパク質やDNA、RNA(核酸)を複製してたくさんの子ども(コピー)を作りだすことを合成と呼びます。

5 成長

合成にてパーツが作られたあと、組み立てられて、子どもになるために成長していきます。4、5のプロセスが繰り返されて増殖していきます。

6 放出

感染した細胞内でウイルスが増殖し細胞の外に飛び出すことを放出と呼びます。この時に細胞が死ぬ場合と殺さず放出される場合があります。細胞を殺していく時には、細胞膜が破れウイルスが一気に飛び出ます。

補足:バクテリオファージが放出する時には溶菌と呼びます。

他方、細胞を殺さない場合は出芽という方法をとって細胞外に放出します。(殺さないけど大量のウイルスに感染している細胞なのでのちに死ぬ可能性が高い)

エンベロープは細胞膜と同じ脂質二重膜でできていることで、ウイルスはカプシドを細胞膜で覆うようにして細胞の外へ出ていきます。

これらの6つのプロセスを経てウイルスは増殖して次世代に情報を残し生きているのです。

毎日ウイルスにさらされている?

ウイルスは目に見えないからどこかに隠れて私たち人間に感染する機会を伺っているのでしょうか?実は、ウイルスはどこにでもいるはずなのです。(実際に見えるわけではないので)

空気中、食品の中、飲み物などどこにでもいる可能性が高いのです。しかし、ウイルスの大半は病原性があるわけではないので、神経質になりすぎる必要はありません。

ウイルスが一番多い場所はどこだと思いますか?それは、生物と同じで海の中と言われています。新しい種類のウイルスも海から発見されています。

科学誌「ネイチャー」によると、海水1ml当たり約1,000万もウイルスがいると発表されています。(ほとんどが細菌を食べるバクテリオファージと述べられています)

参考Nature「High abundance of viruses found in aquatic environments」

また、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究者たちは、地球の大気境界層下を飛び回るウイルスの数を測定し、どれだけ多くのウイルスが上層大気から地表に落下しているか調べした。

その結果、毎日2.6億〜70億個/㎡のウイルスが地球の大気境界層より地表に降り注いでいることが判明しました。同じく、細菌に関しても300万〜8000万個/㎡は落ちてきているということです。

細菌に比べてウイルスは小さい分空気に乗って遠くに飛ばされ、堆積するスピードも9倍~461倍ほど早いそうです。

引用Nature「Deposition rates of viruses and bacteria above the atmospheric boundary layer」

もちろん、全てのウイルスや細菌が人に対して病気をもたらすものではありませんし、体内に侵入してきても体内の免疫機構が常時守ってくれますのでご心配は無用です。

ウイルス除去

ウイルスは生物ではないですが、生物に近い存在で、私たちの身の回りにたくさんいますし、触れ合っています。基本的には病原性のあるウイルスは少ないですが、人間の細胞を利用して増殖するウイルスにはワクチンやウイルス除去するスプレーなどを活用して身を守りましょう!(病原性がなければ全く人体に無害ですのでご安心を!)

以上、ウイルスは生物ではない!ウイルスの構造から増殖のプロセスについてご紹介しました!

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