漢方薬は風邪やインフルエンザに効果があるのか?

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漢方薬

私たちの身近で体調を崩した時に薬でなく漢方を飲む人は少ないのではないでしょうか。一方で、適切に漢方を飲むことで薬よりも効果が現れ、早期回復する可能性があることも複数の研究でわかってきております。

 

風邪の対処方法も個人の体質によって変わってくるので、その人にあった方法を選ぶといいかもしれません。

※もちろん、お医者さんからの指示に従ってください。漢方も薬の一種ですので効果とその反面副作用がでる人もいます。興味のある方は、かかりつけ医に一度相談してみてください。

今回は漢方の効果についてご紹介したいと思います。

Contents

風邪の症状は漢方で治りが早い?

風邪薬

80名の37℃以上の発熱している人を対象に痛み止め、解熱剤を使用した人たちと適切な漢方薬を飲んだ人た日を比較実験しました。

その結果、漢方薬を飲んだ人たちの方が、熱を出した期間が1日短くなり、風邪の症状が出ている期間も短くなりました

参考:有熱かぜ症候群患者における漢方治療の有用性

麻黄附子細辛湯エキス顆粒

風邪と診断された3歳以上の人171人を対象に風邪薬を飲ませた人たちと漢方薬の一つである「麻黄附子細辛湯エキス顆粒」飲ませた人たちを比較実験しました。

その結果、漢方薬を飲んだ人たちの方が、熱の症状が2日早く回復し、咳と痰の症状は1.5日ほど短くなりました。

小青龍湯

全国61施設で12 歳以上の通年性アレルギー性鼻炎患者1群各100例を目標に対象者に「小青龍湯」を服用してもらいました。

その結果、くしゃみ発作の改善率(消失+著明改善+改善/例数)は小青竜湯群50.5%、水性鼻汁では小青竜湯50.0%、鼻閉では小青竜湯群62.3%となりました、3症状とも有意に小青竜湯を飲んだ人たちに優れた改善が認められました

 

また、192人を対象に漢方薬の一つである「小青龍湯」を服用した結果、気管支炎によるせきの回数、せきのつよさ、せき・たんぎれの改善になり、くしゃみや鼻詰まりについても改善傾向が見られました。

 

スギ花粉による鼻アレルギー症状を訴えて来院した人15名に対して小青竜湯を2週間続けて飲んでもらい、飲む前と飲んだ後の症状を比較しました。

その結果、後鼻漏(異常な鼻水がノドの方へ流れ落ちてくる症状)、流涙の項目では有意な効果は認められませんでした。

 

一方、鼻水、鼻閉、くしゃみ、目の痒みに対して効果を示し、全体的に改善が46.7%、やや改善以上が73.4%でありスギ花粉症患者の約半数に対して一定の効果を示しました。

参考「小青竜湯の基礎と臨床研究」の紹介

漢方の麻黄湯はインフルエンザに対して効果があるか

世界規模でタミフルなどの抗インフルエンザ薬に対して耐性株が出現しております。

タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は、直接的にウイルスを除去、分解する作用はありません。

インフルエンザウイルスが増殖する時に用いる酵素の一つの「ノイラミニダーゼ」の働きを阻害することでこれ以上増やさない状態を保ち自らの免疫で治していくのです。

 

他方、漢方の一つである麻黄湯は人間の免疫力を高める作用で自ら治癒を行います。そのため、問題となっている耐性問題がなく、副作用リスクも少ないと言われています。ただし、麻黄の成分にエフェドリンが含まれていますので、高齢者に使う場合、特に心臓に持病等ある方は注意が必要です。

※医師にご相談ください。

 

そこで、順天堂大学医学部の研究チームは、麻黄湯のインフルエンザに対しての効果について研究を行いました。

 

インフルエンザ患者に対する麻黄湯のランダム化比較試験をおこないした。

その結果、麻黄湯ではタミフルなどの抗ウイルス薬と同等の効果が得られました。

また、関節痛に関しては、タミフル単独群よりも有意な改善効果が認められました。

 

漢方薬の中にはサイトカインの調節に有効なものがあり、インフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症の治療への活用が期待されています。今後も研究を進めて様々な選択肢を持てるようにしてもらいたいですね!

参考:感冒・インフルエンザと漢方

以上、漢方薬は風邪やインフルエンザに効果があるのかについてご紹介しました。