【追記2019年4月10日】
私たち人間は、感染症と一緒にインフルエンザについての研究は世界中にて行われています。今回は3つの研究とその結果についてご紹介します。
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インフルエンザは湿度を調整すると効果的に予防できる
インフルエンザは空気の乾燥し、気温が下がる冬に流行ります。(南半球では日本の夏の時期に流行します)研究によりインフルエンザウイルスは気温と湿度に対して相関関係があることが分かっています。
インフルエンザウイルスの生存率と気温、湿度の相関関係を調査した結果を下記のグラフに示します。
参考:東京都感染症情報センター
その結果、気温10℃〜22℃で湿度20%の場合が一番インフルエンザウイルスの生存率が高いことが分かります。一方、気温22℃〜32℃で、湿度50%以上の環境下だと生存率が低いです。
そのため、気温が低く、湿度の低い冬の時期にインフルエンザウイルスの生存しやすく、流行するということです。
22℃の環境では、湿度が20%と50%を比較すると約60%も生存率が落ちます。
だからこそ、室内では加湿器などで十分に(50%ほど)湿度を保つ対策が非常に有効なインフルエンザ予防となります。
引用:「Airborne micro-organisms: survival tests with four viruses By ,G,J.Harper」(59, 479-486,1961)
インフルエンザウイルスは湿度だけでは感染力は落ちない?
先程の研究結果により部屋の湿度を上げるとインフルエンザの生存率が下がり予防の効果が期待できるという結果でした。
しかし、2018年にアメリカの研究によると高い湿度の環境の中でもインフルエンザウイルスの感染力は弱まらない可能性のあることが分かりました。
アメリカの研究グループはインフルエンザウイルスの感染力と湿度の関係に着目して実験を行こないました。
湿度を一定に維持した状態で、7段階の湿度(23%、33%、43%、55%、75%、85%、98%)を変えて実験を繰り返した結果、インフルエンザウイルスはどの湿度でも感染力が弱まらないことが明らかになりました。
はじめにご紹介した研究結果と矛盾しているように聞こえますが、湿度によって生存率が下がることは確かです。
しかし、湿度が直接的にインフルエンザウイルスを分解しているわけではないので、インフルエンザの感染力は下がらないということは納得できます。
感染力が下がらない理由として、咳やくしゃみにより空気中に飛び散った気道の分泌物などがインフルエンザウイルスの保護に働くためではないかと推測しています。
この研究より、インフルエンザが流行する季節の予防方法としては、自宅や職場の空気をこまめに入れ替えること、空間ウイルス除去するために超音波加湿器+弱酸性次亜塩素酸水溶液で直接的にインフルエンザを除去することです。
また、咳やくしゃみなどで付着したウイルスが手を介して感染する可能性もあるため、パソコンのキーボード、ドアノブ、机、受話器など人が触れる所は定期的に除菌剤などで(ウイルス除去に効果があるもの)清掃すべきです。
インフルエンザ感染者が呼吸をするだけで周りに感染する?
インフルエンザ感染者が呼吸するだけでウイルスが周りに広がり、同じ部屋にいる人に感染する「空気感染」が思っていた以上にあることがアメリカの研究で示唆されました。
インフルエンザ患者142人に協力してもらい、発症から1~3日目に①いつも通り呼吸している時②会話をしている時③咳をした時④くしゃみをした時4パターンの呼気サンプル(計218サンプル)を取集し、分析しました。
その結果、咳が出ていない状態で採取された呼気サンプル(23サンプル)の48%(11サンプル)でインフルエンザウイルスが検出されました。
インフルエンザに感染している人が呼吸するだけで周囲の空気にウイルスが放出されることが分かりました。
そのため、学校や職場でインフルエンザに感染した人または感染の疑いがある人は周囲にうつすリスクがあるため自宅にて療養すべきです。または、現場にて発覚した場合には速やかに隔離すべきです。
表面に付着したインフルエンザウイルスの生存時間
イングランドのオックスフォード大学の出版局を兼ねる出版社であるOxford University Press(OUP)のThe Journal of Infectious Diseasesにて環境表面上に存在するインフルエンザウイルスの生存について発表されました。
その研究では、手および環境表面からインフルエンザウイルスの伝播を調べるために、実験室で増殖させたインフルエンザウイルスA型とインフルエンザウイルスB型の様々な表面上での生存を調べました。
A型とB型の両方のインフルエンザウイルスは、ステンレス鋼やプラスチックなどの硬くて非多孔性の表面では24〜48時間生存しました。
一方、布、紙、ティッシュでは8〜12時間生存しました。
測定可能な量のインフルエンザA型ウイルスを24時間経過した後、ステンレス鋼の表面から手に移し、15分の間測定を行いました。
その結果、環境面からの移動後、ウイルスは最大5分間手の表面で生存することがわかりました。
つまり、インフルエンザに罹患している人からウイルスが飛散し、ステンレス鋼表面を媒介してから2〜8時間、そしてティッシュペーパーを媒介すると数分間は2次感染の恐れが十分にあることを示唆しています。
参考:Survival of Influenza Viruses on Environmental Surfaces
以上、インフルエンザに対する研究で分かった予防と対策についてご紹介しました。