インフルエンザや風邪以外にも症状が似ている場合医者は100%の診断をすること困難です。
実は、インフルや風邪でなく、細菌性の感染症の中で、症状が重くなりやすいけど、症状が発熱だけでそれ以外の特徴がない感染症もあるのです。
今回は、細菌性感染症についてご紹介していきます。
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インフルや風邪、細菌性の感染症を発症するとは?
感染すると一概に言いますが、感染しただけでは、発症を起こさない人もいます。
それは、免疫が強くてウイルスが侵入したからといって増殖させなかった可能性もあるし、増殖したけど、症状を現すまでは至らなかったとも考えることができます。
感染症を発症するということはこの3条件をクリアしなければいけません。
- 感染源となる病原体があること
- 病原体が感染経路を通って人の体に入ること
- 人の体が病原体の発症を抑えきれないこと
この1つでクリアできないと感染して発症までは至りません。感染症を予防するにあたってこれらの条件を一つでも潰すことができれば病原体に侵されなくなります。
意外と予防の考え方はある意味シンプルですよね!
インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスは違う
インフルエンザといえば誰もがウイルスだと思いますよね?実は、ウイルスだけでなく、インフルエンザ菌もいるのです。
インフルエンザ菌は細菌で、インフルエンザウイルスとは全く違います。
19世紀の終わりに、インフルエンザが大流行した時に間違えられたまま命名されましたという歴史があります。その後、ウイルスの存在が発見されましたが、名前は変更されなかったそうです。
●インフルエンザ菌(ヘモフィス菌)
インフルエンザ菌はウイルスとも間違えやすいため、現在はヘモフィス菌と呼ばれることも多くなってきました。
感染経路はせき、くしゃみ、接触することによって口、鼻、のどの粘膜から入ってきます。複数の形をもっていますが、特に注意すべきものは、インフルエンザ菌B型です。
こちらは、定期予防接種A類疾病に指定されていて、絶対受けたい予防接種のひとつです。
髄膜炎や肺炎の原因になり、死に至るまたは、後遺症を残す可能性があります。
●肺炎球菌
こちらもインフルエンザ菌(ヘモフィス菌)と同様に接触感染、飛沫感染するバクテリアで、定期予防接種A類疾病に指定されていて、絶対受けたい予防接種のひとつです。
子供は体の構造が未熟なために、ウイルス性の感染症になると、鼻や喉に炎症を起こし、合併症をおこして、中耳炎にもかかりやすくなります。(肺炎や髄膜炎の原因菌でもあります)
症状としては、耳の痛みや発熱です。
膿がたまって鼓膜が破れるケースもあります。鼓膜の色の変化をみて診断しますが、小さなこどもは見逃しやすいそうなので注意が必要です。
インフルエンザ菌と肺炎球菌による肺炎について
肺炎とはその名の通りに肺に炎症が起きる病気です。ウイルス性または、細菌性どちらも原因になりえます。
ウイルス性のものは自然に治りますが、細菌性のものは厄介で、重症化すると肺に膿がたまって死に至るケースもあります。
肺炎は、肺炎球菌とインフルエンザ菌が主な原因の細菌です。
細菌性の肺炎は、2通りの侵入経路があり、鼻や喉の細菌が気管を通って肺に入り感染するパターンと鼻や喉にいた細菌が傷ついた粘膜から血液に入り込む血液によって肺に感染するパターンがあります。
これらのパターンどちらも共通ですが、ウイルス性の炎症が粘膜から起こっていることが原因なのです。
つまり、インフルエンザウイルスや風邪からこじれて2次感染してしまうのです。
肺炎の場合はレントゲン検査をした時に、肺に影があるそうです。もちろん、そのあとに、細菌性かウイルス性由来なのか判断するために血液検査や症状を確認します。
重症の肺炎は呼吸が苦しくなり、咳がひどく、発熱が続きます。
特に、小さい赤ちゃんの場合は入院が必要になってきます。
インフルエンザ菌と咽頭蓋炎(こうとうがいえん)について
頻度は下がりますが、要注意な細菌感染症の一つが喉頭蓋炎です。
のどより少し上の部分に細菌が感染してしまい、ひどくなると自分で呼吸ができなくなります。この症状の怖いところは発症して数時間で呼吸困難に陥ることがあることです。
横になるとさらに苦しくなるので、座った状態で背中を丸めて猫背にした状態で大きい病院に受診してください。
原因の大半はインフルエンザ菌(ヘモフィス菌)によるものなので、予防接種が予防の一番効果的ですね。
要注意なのは細菌による髄膜炎(ずいまくえん)!
細菌性髄膜炎とは、脳の周りの髄膜に細菌感染をしたことを言います。診断が難しい病気で、放置しておくと、命の危険性があり全身の状態がだんだんわるくなります。
症状として、食欲低下、元気がない、嘔吐、意識障害、けいれんなどが現れます。
髄膜炎の場合は背中に針を刺して脊髄液という脳の周りの液を抽出して検査することで分かります。
治療は入院して、数週間にわたります。飲み薬の抗菌剤レベルでは効果がほとんどないので、点滴にて行います。
細菌性髄膜炎については2通りに分けてお話しします。
まずは、髄膜炎を引き起こす肺炎球菌やインフルエンザ菌などが原因の細菌性髄膜炎についてです。
インフルエンザ菌と肺炎球菌による細菌性髄膜炎
厚生労働省によると基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の医療機関)が届出するものの中に細菌性髄膜炎が入っています。
国立感染症研究所によると、2017年1月〜9月までに細菌性髄膜炎369人、無菌性髄膜炎710人となっております。
参考国立感染症研究所2017年37週速報データ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html
この数字は、医療機関500カ所のみの数なので、実際の数字はもっと多いことになります。
参考にですが、厚生労働省が2017年時点での医療機関の数を統計を調べています。現在、病院(精神科病院1061カ所含む)は8439カ所あり、一般診療所は101505カ所もあります。
また、日本神経感染症学会により『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』の中で、言及されている内容の一部をまとめた文言を抜粋します。
・日本の細菌髄膜炎は、診断信頼性の高い調査によると年間約1500人発生していること
・インフルエンザ菌と肺炎球菌が原因の髄膜炎は激減したこと
・細菌性髄膜炎の全体の数に変化はあまりないこと
・年齢によって主要起炎菌が変わっていること
・成人の致死率20%前後で生存者30%に後遺症であること
・2000年以降のデータで小児の致死率は5%以下で、後遺症は15%前後であること
参考『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』
http://www.neuroinfection.jp/pdf/guideline101.pdf
2017年現在の細菌性髄膜炎の数から推定すると2014年のデータと比較しても増減に変化がなさそうです。
次に、髄膜炎菌による髄膜炎についてです。
髄膜炎菌性髄膜炎について
髄膜炎菌性髄膜炎菌は、保菌者のせきやくしゃみなどによる飛沫感染が多く侵入ルートは口から喉の粘膜で、発症すると、5〜10%程度の人が死亡してしまいます。
感染症法に則り、厚生労働省が全ての医師が、全ての患者の発生について届出を行う中に、髄膜炎菌性髄膜炎は入っています。
感染症国立感染症研究所によると2017年1月〜9月の間に、全国で20件発生しています。
回復した人でも10〜20%に以下の後遺症を残してしまいます。
・難聴
・精神発育の遅れ
・手足の細胞が壊死して腐る前に切断
・言語障害など
2015年5月から日本でもワクチンの使用の認可がおりてしようできるようになりました。
参考WHOホームページhttp://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs141/en/
参考国立感染症研究所https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/405-neisseria-meningitidis.html
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)という日本で言う厚生労働省が出している統計では、2008年〜2012年から平均を算出すると約1314人もの人が感染していました。
参考アメリカ疾病予防管理センターレポートMMWR2013:
https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6252md.htm?s_cid=mm6252md_w
アメリカだけでもこれだけの人が感染しており、イギリスでは増加傾向にあるそうです。海外によく行く方は、特に予防接種をおすすめ致します。
まとめ
初期症状だけでは、風邪なのかインフルエンザなのか判断がつきにくい細菌性感染症です。
軽度であれば、適切に処置すれば完治もはやいですがが、重症化すると死に至る可能性や後遺症を残す肺炎、喉頭蓋炎、2種類の髄膜炎などをご紹介しました。
とにかく、検査や治療含めて家族の注意深い観察と医者の判断が極めて大切です。
以上、インフルエンザ?風邪?医者も悩む危険な症状がでる細菌感染症をご紹介しました。