今では過去の感染症となりました天然痘ウイルスですが、家畜飼うようになってからほんの何十年か前まで人類を脅かしている存在でした。どのようにして過去の感染症にすることができたかワクチンの歴史を踏まえて天然痘についてご紹介いたします。
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天然痘は1980年に世界中から撲滅
巨大なウイルスとして知られるポックスウイルスですが、その中でも有名なのが天然痘ウイルスです。そのウイルスの大きさは300~450×170×260nm( ナノメートル)で、卵型の形をしています。
1980年にWHOによって根絶宣言がなされ、今は天然痘ワクチンの接種も必要ありません。
天然痘のワクチンの有効期間は3~5年と言われています。追加接種することにより、生涯にかけて免疫を獲得することができると言われています。
現在、天然痘ウイルスは、アメリカやロシアなどの研究機関でのみ保管されています。天然痘は別名、疱瘡(ほうそう)、痘瘡(とうそう)とも呼びます。天然痘は、人類の歴史を動かした病原ウイルスの一つと言われています。
天然痘の撲滅にはワクチン接種にて行われました。
天然痘ワクチンを開発に至るまで
その天然痘ウイルスに対しての対策として研究していたイギリスの医者エドワード・ジェンナー氏が世界で初めてワクチンを使った人です。
天然痘は人がかかる感染症ですが、ポックスウイルスの仲間で多くの動物に感染します。
当時、ウシを宿主にするウイルスが人に感染する「牛痘」があり、天然痘とよく似ていいました。ジェンナー氏は、牛の乳搾りをする女性に対して感染はするけど激しい症状はでないことに気づきました。
そこで、牛痘に感染した女性のカサブタから接種した膿のような液をある少年に接種してみました。
さらに、天然痘患者の膿疱をこの少年に接種してみたところ、天然痘の重篤な症状を示さないことを見つけました。さらに同様に繰り返し接種しても天然痘を発症しませんでした。
これが「天然痘ワクチン」の開発の契機となり、天然痘によって命を落とす人が激減しました。
ワクチンが開発されたのち、ワクチンの改良が進みWHOでも天然痘撲滅のための計画が策定され、世界中で集団予防接種を行い集団免疫得ることで撲滅するまで至りました。
天然痘の感染経路とその症状
天然痘ウイルスは気温が低温ほど長く生きることができ、湿度も同様に低いほど長く生きることができます。人口密度が高い場所で流行し、感染経路として、接触感染、飛沫感染、空気感染します。
参考:ウイルス・細菌は進化する!感染症予防するには感染経路を知るべし!
天然痘ウイルスは、非常に感染力が強い感染症です。上気道の粘膜から体内に侵入した後、「リンパ節」で増殖します。
そこで、増殖したウイルスは血液の中を流れて体全体に行き渡ります。(ウイルス血症)体内の皮膚や粘膜に到達し、細胞に感染し、また増殖を繰り返すことで発疹を作ります。
感染すると高い発熱を引き起こし、顔などに豆粒くらいの大きさの発疹が出ます。次第に、「水疱」を生じ、「膿疱」となって全身に広がり、膿疱の中央がくぼんで「とうさい」が生成され、最終的に「かさぶた」となります。
しかし、重症の場合には、皮膚、結膜、鼻、腸などから出血し、消化器や呼吸器にも異常をもたらし、発病して1週間以内に死に至る病気です。
現在、天然痘を撲滅してから40年弱になります。これからも、天然痘の発症者がでないように世界中で監視し続け、新しい感染症に対する研究がより進むことを願います。
以上、巨大ウイルス天然痘ウイルス(世界で初めて撲滅した)についてご紹介しました。