【まとめ】主な定期予防接種と任意ワクチン接種でどんな病気を予防できるか

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予防接種スタンプ注射【追記2018年8月7日】【追記2018年9月21日】 【追記2018年10月25日】【追記2019年4月23日】

感染症と言われるものにはウイルス性のものと細菌性(バクテリア)のものがあります。基本的には、ウイルス性の病気を治す薬はありません。(増殖を阻害する作用の薬があります)

一方、細菌性の感染症には抗菌剤という治療薬があります。ただし、種類がたくさんありすぎて、専門家や医師でないと一概にこの抗菌剤ということは分からないので、自己判断で家に残った抗生剤を使用しないでください。

病気を予防するためにとる一つの有効的な策として予防接種が挙げられます。

予防接種には定期予防接種(A類疾病、B類疾病)と任意予防接種がありいつ、何回ワクチンを接種するべきかなど予防接種法に基づいて厚生労働省から推奨されています。

各々の病気についての症状がどんなものか、予防はできるのか、気にしなければいけないポイントをまとめましたのでご紹介します。

かなりボリュームがあるので、特に気になる病気についてでも参考にしてみてください!

→インフルエンザ菌と肺炎球菌のワクチンについての詳細はこちらの記事からどうぞ!

Contents

ヒトパピローマウイルス(HPV) ウイルス性の感染症

●定期接種A類疾病

ヒトパピローマウイルスはHPV(Human Papilloma Virus)と呼ばれ100種類以上の遺伝子型が発見されているウイルスで、感染するとイボを発生させます。

その内の30〜40種類が性感染することが分かっています。さらに、その15種に発がん作用があります。実は、50〜80%の確率で女性は、一生に1度性感染によって感染します。

補足:ヒトパピローマウイルスに感染しても90%以上が2年で自然に排出されるので、発がんには至りません。

感染経路は感染した皮膚や粘膜の接触と言われています。皮膚や性器、足の裏など種類によって感染する部位が変わってきます。

一部の種類が子宮頸ガン(しきゅうけいがん)を発症させます。子宮ガンの検診での発見率は100%です。20代以降の女性は2年に1回の検診が勧められています。

発見率は高い一方で、まだまだ検診率は低いのが現状です。日本医師会によると、子宮頸ガンの検診率では、日本は42.1%で、アメリカは84.5%と2倍の差がでています。

参考厚生労働省がOECDの2015年の資料により作成の資料はこちら

ヒトパピローマウイルスを予防するためには予防接種

予防の観点で、一番大切なことは、ワクチンを接種することを周知することももちろん大切ですが、『性感染するという事実』を若いうちから知ることの方が重要ではないでしょうか。

性教育の中にHIV(エイズウイルス)だけでなく、ヒロパピローマウイルスについても積極的に教えてもらいたいです。

注意:感染している人にガンリスクを下げる効果はワクチンにはありません

若い人の死亡率が高いのが子宮ガンです。

2016年に子宮ガンで亡くなった人数は6344人(2015年の死亡数6429人)

2017年の統計予測では、5600人(内訳子宮頸部3000人、子宮体部2600人)が亡くなるとされています。

疑問補足:子宮ガンには子宮頸ガンと子宮体ガンの2種類あります。

参考国立ガン研究センターはこちらから

参考2016年人口動態統計はこちらから

現在、定期接種のA類疾病の予防接種となっていまが、2013年からワクチンの副作用が問題となっています。

ワクチンは研究の努力の末にできた産物ではありますが、それにはリスクがあるということを知ってください。どのような副作用があるのか、どのくらいの確率でなるのかなど受ける前見ることができます。

そのリスクと将来ガンになって亡くなるリスクをしっかり判断すべきです。ゼロリスクを追い求めた結果ガンになってしまったのでは元も子もないですよね。

ヒトパピローマウイルス予防するためには定期検診とワクチン!と覚えておいてください。

麻疹(ましん、はしか)ウイルス性の感染症

●定期接種A類疾病

麻疹(Measles)を発症する麻疹ウイルスは乳幼児期にかかりやすいウイルスの一つです「ましん」と言うよりも「はしか」の方が聞いたことある人が多いかもしれません。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末まで日本全国での報告では、180件発生しています。

一度感染すると体内に抗体ができるので、基本的には人生で2回発症することはありません。しかし、合併症など危険を伴うので予防接種をすることになっています。

今では、日本国内では、ほぼ見られなくなりました。2014年、(434人)2015年(32人)、2016年(5人)が感染報告されています。

参考2016年vol10世界保健機関(WHO)ホームページはこちらから

日本は、2015年に世界保健機関(WHO)から麻しん排除認定をされました。一方で、海外からの持ち込みや海外での感染にて発生しています。

そして、2018年3月には100人規模の麻疹が沖縄県でも流行しました。(同年6月には終息宣言)

参考なぜは麻しん(はしか)が日本で流行るのか?

はしかの感染ルートは空気感染が主で、口や鼻結膜から侵入してきます。

約10日〜14日の潜伏期間を経て、1回目の発熱は38〜39℃くらいでて、咳と鼻水がでて、結膜炎を合併症として発症します。

感染から2〜4日後に熱が引き始めた時に、口の中に白い発疹(ぽつぽつしたもの)が出ます。ぼつぼつは顔から始まって全身に現れます。そして、2回目の発熱を引き起こす2段階の発熱が特徴です。

また、肺炎、喉頭炎、中耳炎、脳炎、脱水症状などの合併症になる場合があります。ひどくなる時には入院も必要です。

補足:2回目の発熱の方が高く、40℃を超える場合もあり、咳もひどくなります。

注意が必要なポイントとして、わずかな量のウイルスでも人から人へ感染していきます。それほど感染力が強いので、咳が出始めた時から周囲に排出しているということを知っておいてください。

参考幼稚園・保育園で気になる麻疹(はしか)について現場の対処

学校、幼保園など登校、登園は停止の病気で、熱が下がってからも3日間は出席停止となります。その間にしっかりと体力回復に当ててください。

疑問補足:はしかウイルスには潜伏期間があります。もし、周りにはしかと診断された人がいた場合に72時間以内であれば、はしかのワクチンを受けることで発症を防げる可能性があります。

もちろん、大人でも感染します。予防接種を1回受けたのが何十年も前の場合体が免疫を忘れてしまい、効果が薄くなってしまいます。

今では、2回受けるのが当たり前になりましたが、よく覚えていない人は、害になるわけではないので、追加でもう一度予防接種しておくことをオススメします。

特に、子どもの出産を考えている本人とその同居する家族の方は受けたほうがいいと思います。妊娠中にはしかに感染すると早産したり流産する可能性があります。

妊娠中にワクチンを接種することはできないので、できれば妊活をする前で、できなければ産後に接種してください。

風疹(ふうしん)ウイルス性感染症

●定期接種A類疾病

風疹ウイルス(Rubella)が原因でくしゃみやせきから飛沫感染します。潜伏期間は2〜3週間してから症状が現れます。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末まで日本全国での報告では、69件発生しています。

発熱と同じくして、顔から全身に赤い発疹(ぽつぽつしたもの)がでます。比較的高熱になることは少なく首回りのリンパ腺が少し腫れます。

これらの症状は3〜4日程度で回復に向かいます。

注意:はしかと症状が似ていることから「三日ばしか」と呼ばれますが、はしかではありません。混同するといけないので風疹と呼びましょう!

妊婦さんの予防接種

補足:はしかと同じく、学校、幼保園など登校、登園は停止の病気です。

風疹の怖いところは妊婦さんが感染する場合です。お腹の赤ちゃんに稀ですが障害をおこすことがわかっています。

妊娠前にはワクチンで抗体を作ることをオススメします。ワクチンを受けた後は、2ヶ月は避妊をしてください。

接種後2〜3ヶ月以内に妊娠してしまった場合には絶対に産婦人科で相談をすべきです。専門家の先生にお話を聞いてください。

検診をして抗体価を確かめる

今までに予防接種を受けていない人でも小さいうちに感染していた場合があります。始めに抗体力を調べて、抗体が一定以上(お医者さんから指示に従ってください)あるのであれば、予防接種をしなくても問題ありません。

妊活を始める前の女性は血液検査で、おたふく風邪、風しん、麻疹(はしか)などの抗体を調べることをおすすめします。

抗体を持っていなければあらかじめ予防接種を受け抗体力をつけることで子どもにもその抗体を引き継ぐことが可能です。また、妊娠中にはワクチンを打つことができません。妊娠と気づかずに打った場合にも生まれてくる子どもに影響はないと報告されていますが、妊娠する前にしましょう。

妊娠中の感染は赤ちゃんへの影響が非常に高く流産や後遺症など様々なリスクがあります。早めの予防接種を心がけましょう。

参考赤ちゃんのために知っておくべき風しんと先天性風疹(ふうしん)症候群について

水ぼうそう(水痘)ウイルス性感染症

●定期接種A類疾病

水ぼうそう(Chicken pox)とは、水痘ウイルスが原因で、空気感染をする非常に強い感染力をもった感染症です。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末までの定点の医療機関からの報告では、日本で41665件発生しています。

潜伏期間は10日〜3週間を経て水をもった発疹(ぽつぽつのもの)が胸、お腹、背中から現われてから手足をひろがっていきます。必ず発熱の症状がでるわけではありません。

水ぼうそうにはアシクロビルという抗ウイルスの治療薬があります。

薬を使用することで、重症化することを防ぐことができます。感染後72時間以内に使用することで効果があります。

注意:水ぼうそうの時に「アスピリン」(解熱剤)を使用してはいけません。インフルエンザウイルスも同様ですが、使用すると「ライ症候群」という脳が障害されておこる病気になる可能性が高くなることが分かっています。けいれんや意識障害も起こして、死亡する可能性もあります。

免疫機能に異常がある病気やステロイドをつづける必要のある慢性の持病を持っている人は重症化する可能性が健常の人よりも高くなるので、医師の判断にしたがってください。

補足:帯状疱疹(たいじょうほうしん)という皮膚に水ぶくれができて痛痒い病気です。これも一度かかったことがある水ぼうそうウイルスが原因でおきますが、症状はそこまでひどくありません。

ポリオ(急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん) 小児マヒ)ウイルス性感染症

●定期接種A類疾病

ポリオウイルス(Polio)は喉や町の粘膜で増殖してから血液に入り込み脊髄に到着すると神経の炎症になり、麻痺を引き起こします。以前はこどもに多く見られたので、小児マヒと呼ばれました。

感染者の90〜95%は症状がでませんが、4〜8%は夏風邪のような症状がみられ、残る1〜2%は髄膜炎を起こします。

麻痺の症状は2%以下ですが、その原因はわかっていません。定期予防接種A類疾病の一つです。侵入ルートは鼻水や唾液、便などの接触感染し、口や結膜から侵入します。

潜伏期間は2〜5日で予防としては手洗いが効果的です。1960年には日本でポリオウイルスが大流行し、5000人以上の感染者をだしましたが、予防接種が効果抜群で1981年以降日本で新規のポリオ感染者はいません。

日本だけでなく、世界中でポリオ収束宣言がなされもうすぐ世界からなくなってしまう感染症と言われています。

ポリオワクチン接種後のウイルス除去方法(幼稚園・保育園で)

ポリオウイルスはノンエンベロープウイルスなので、アルコール除菌や塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)では効果が薄いと言われています。

ポリオワクチンを受けた後におむつの消毒に次亜塩素酸ナトリウムを使用しても問題ありません。しかし、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性のため皮膚を溶かしてしまう刺激性の物質です。

また、ピューラックスのような次亜塩素酸ナトリウムは保護者から脱色作用があるため苦情がくる可能性があります。

従って、それら以外の対策としては、次亜塩素酸水溶液を使用する、熱湯消毒(80℃で10分間)、家に帰って洗ってもらうことが挙げられます。

一番避けるべきことは幼稚園や保育園で広げないこと(なるべく接触を低くすること)です。

B型肝炎 ウイルス性感染症

●定期接種A類疾病 母子感染予防については任意接種

B型肝炎(Hepatitis B)は、B型肝炎ウイルス(HBV)が原因のウイルスで、母子間、性交渉などの感染ルートから血液や体液を介して感染し、皮膚、粘膜から肝臓に侵入します。

国内で一番多い感染事例は母子感染です。免疫力の弱い赤ちゃんはウイルスを排除できずに成長した後、10〜20%の確率で慢性肝炎を発症し、肝硬変や肝ガンを引き起こします。

また、大きくなってから感染した場合では、重症化せずにウイルスが排除されることが多いです。しかし、一部の人は急性肝炎を引き起こして1%ではありますが、症状が悪化して亡くなる方が半分弱います。

B型肝炎も定期接種A類疾病に指定されています。日本の男性では5番目に、女性では4番目に多いガンの部位が肝臓です。

B型肝炎は、ウイルスに感染しても様子を見ながら慢性肝炎かしないようにすればがんになる可能性は低いです。

しかし、肝炎をおこしておらず、ウイルスの潜伏だけでも肝がんを引き起こす例もあります。

C型肝炎ウイルス ウイルス感染症

肝臓ガンの原因となる肝炎ウイルスには数種類ありますが、肝細胞ガンの約60%近くはC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染で、約15%がB型肝炎ウイルスです。

そのため、肝炎ウイルスの有無を調べることは予防に繋がるのです。

疑問補足:肝臓から発生するガンは2種類あり、肝細胞ガンと胆菅細胞ガンがあります。

残念ながらC型肝炎ウイルスは予防のワクチンはありません。現在は、厚生労働省の通知で、多くの自治体では、無料で検査できるので、うまく活用して治療する前に予防しましょう。

C型肝炎が陽性の場合は慢性肝炎を起こしていることが多いので、インターフェロンや抗ウイルス薬にて治療を行います。

慢性肝炎や肝硬変と診断された人は定期的に経過観察を行う必要があります。

補足:C型肝炎がウイルスが発見されるまでは、肝がんの一番の原因は飲酒だと思われていました。※アルコールだけで肝臓がんになる人の割合は2〜3%程度です。

予防接種を受けて元気に

参考国立がん研究センター2015年統計はこちらから

日本脳炎 ウイルス性感染症

●定期接種A類疾病

日本脳炎(Japanese encephalitis)は、豚が主要の感染源であり、日本脳炎ウイルスを保有した蚊(コガタアカイエカ)が媒介して皮膚を通して感染します。

補足:日本脳炎は人から人への感染はありません。

潜伏期間6〜16日を経た後、日本脳炎を発症すると、高熱や頭痛、意識障害などを引き起こします。致死率は20〜40%です。

しかし、完治した場合でも、45〜75%の確率で精神障害、麻痺などの重い後遺症が残ってしまいます。

発症率は0.1%と低く、さらに、現在はワクチンを接種することでより感染する確率を軽減することができます。

しかし、2005年に、日本脳炎のワクチンを受けた一人がADEM(急性散在性脳脊髄炎)という神経の病気の重症例となったことが分かり、後遺症が残ってしまいました。

注意:予防接種が不十分の人がいるので、母子手帳を確認してください。特に、1995年〜2006年に生まれた人はその可能性が高いです。

そのため、積極的に推奨しなくなりましたが、2017年現在では、新しいワクチンになりより安全に予防接種を受けることができるようになりました。

2017年1月〜10月時点では、全国で1名、2016年には、11人が罹患しています。

海外旅行に行く時には予防接種と蚊の対策を

東南アジアなど感染の高い地域に行く場合は感染するリスクと予防接種をするリスクをしっかり考えて受けるようにしてください。

予防接種が第一優先で、その次にカニ刺されない対策を取りましょう。予防接種の効果も3〜4年程度と言われているので、アジアの途上国に行く場合は追加接種をすることをオススメします。

物事にはゼロリスクはありません。予防接種の副作用がでないようにする努力を医療従事者の人は行なっています。

結核 細菌性感染症

●定期接種A類疾病

結核(Tuberculosis)の原因となるのが結核菌というバクテリア(細菌)です。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末まで日本全国での報告では、16929件発生しています。

感染経路として、保菌者からせきやくしゃみなどを通して肺から感染します。

そこから血流やリンパ球に乗って、脊椎、関節、消化器官、心臓などに広がります。

しかし、感染=発症ではありませんが、免疫欲が低下した時に数十年後でも症状が出てしまうのが怖いのです。

補足:そのまま一生、発症せずに休眠状態のままの人もいます。

感染力は強く空気感染します。発病してしまうと、せきや呼吸困難、胸の痛みが数週間続きます。熱、寝汗、体重が軽くなるなどが主な症状です。

結核菌が全身に広がると命に関わる合併症、後遺症が残る髄膜炎になる可能性があります。

結核に感染しているかどうかはツベルクリン検査、レントゲン検査を行います。最終的に、たんや胃液から結核菌がいるかどうか細菌検査も場合により行います。

日本での予防接種では、定期接種A類疾病に指定されておりますが、BCG(結核ワクチン)は完全ではありません。しかし、髄膜炎などの合併症に至らないようにすることができます。

その効果が持続するのは10〜15年の間までです。

ワクチンですが、大人への結核予防の効果は薄いとされています。世界の人口で3割以上が結核菌を保有しているらしいです。つまり、70億人のうち約23億人程度で保菌者ということですね。

参考国境なき医師団のホームページはこちらから

疑問補足:もし予防接種する前に赤ちゃんが結核に感染してもワクチンを接種したからといって悪化はしません。

通常接種後1ヶ月くらいで赤く腫れてブツブツの膿をもつようになるのですが、接種後3〜1週間程度で赤く腫れたり、膿がでるようであればもともと感染していたことがわかるので、病院を受診してください。

ジフテリア 細菌性感染症

●定期接種A類疾病

ジフテリア(Diphtheria)はジフテリア菌という細菌が原因でおこる病気です。

1999年〜2005年での国内での発生件数は3人のみです。しかし、ジフテリア菌は飛沫感染、接触感染おこすため海外では日本よりありえる感染症なのであなどれません。

症状は、発熱喉の痛み、飲み込む時の痛みが現れます。進行すると喉に白い膜が作られたり、首まわりのリンパ節が腫れます。

その結果呼吸困難を引き起こすまたは、ジフテリア菌が作る毒素が心臓に障害を与えてしまい死亡する可能性があります。

疑いがある場合はすぐに抗毒素を使用して治療を開始します。抗菌剤を使用しても毒素は残ってしまうのが、この病気の怖いところです。

参考厚生労働省ホームページ

ジフテリアに対しては、予防接種定期接種のA類疾病に指定されております。

百日咳(ひゃくにちぜき) 細菌性感染症

●定期接種A類疾病

百日咳(Pertussis)菌は口、鼻、のどからの気道に付着して増殖していきます。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末までの定点の医療機関からの報告では、日本で1191件発生しています。

潜伏期間は5日〜3週間ほどで、症状は約10週間ちかく症状が現れ、3段階に分かれます。

もちろん、登校、登園は停止になる病気です。

補足:赤ちゃんや幼児は本当に辛い病気です。ミルクは飲めないし、せきで全くねれません。咳どころか、呼吸が止まってしまう無呼吸発作をおこす場合があります。

・カタル期(約2週間程度)

潜伏期間の後、一般的な風邪の症状が始まりどんどん咳の回数が増えて激しくなります。

・謦咳期(けいがいき)(約2〜3週間程度)

謦咳(けいがい)とは、せきばらいのことで、息を詰めて席をするため顔面むくみ、眼球結膜炎出血、鼻血などが見られる場合があります。

・回復期(約2〜3週間程度)

激しい咳は減りますが、まだ続きます。成人の場合長期にわたって持続しやすいです。

補足:謦咳期の時に、タンや咳が出ない時もあるので、百日咳に感染しているか分からない時もあります。

実は、百日咳菌には抗菌剤がすぐに効かないのです。だからこそ予防接種が開発されました。

子供が小さい時にはたくさんうけるものがありますが、病気を予防するためにも定期的に母子手帳を見返して漏れがないか確認しましょう。

破傷風 細菌性感染症

●定期接種A類疾病 任意接種(大人は)

破傷風(Tetanus)菌は土壌などに幅広く生息するバクテリアです。東日本大震災の時の破傷風の症例が報告されました

津波に流された時や避難する時におった傷から感染しました。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末まで日本全国での報告では、101件発生しています。

感染ルートとして、土壌接触や感染した動物に噛まれる、ピアス、切り傷や擦り傷から侵入します。潜伏期間は2日〜数ヶ月週間ほどですが大体2週間以内で症状がでます。

補足:破傷風菌は人から人には感染しない細菌です。

発症すると、破傷風菌が体内で毒素を生成し、神経に悪さをして、口の引きつりや味覚に違和感があり、全身の筋肉のけいれんが起きます。

進行すると、呼吸機能が壊されて死に至ります。症状が出始めた時には手遅れで、致死率が50%と非常に高いのが特徴です。

補足:新生児が感染すると80〜90%の致死率と言われています。成人の平均は15〜60%ほどです。

破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)の効果は10年程度なので、成人後も追加接種を継続することで免疫を維持できます。

海外(特に発展途上国)に行くことが多い方は、事故にあって怪我をしてしまった場合に感染してしまう可能性があります。

渡航前に日本でワクチン接種されることが得策です。

破傷風は発症すれば非常に重い病気です。破傷風はインフルエンザとは違いワクチンにて予防ができる疾病です。今一度母子手帳にて確認してみてはいかがでしょうか?

ロタウイルス ウイルス性感染症

●任意接種

子供の胃腸炎といえば、ノロウイルスとロタウイルスですよね。2歳までの子供に多い胃腸炎で5歳になるまでにほぼ100%一度は感染すると試算されています。

ロタウイルス(Rotavirus)は、ノロウイルス同様、冬場に流行しますが、少し流行のピークがずれていて、2〜5月と春にかけても流行ります。

国立感染症研究所によると、ロタウイルス胃腸炎による年間の患者数は約80万人、入院者数は約7~8万人に及ぶと推計されており、毎年数名の死亡者が報告されています

国立感染症研究所が発表している2017年の1〜9月末までの定点3000ヶ所の医療機関からの報告では、4865件です。

ロタウイルスの症状

ロタウイルスの感染ルートは、吐瀉物、下痢に含まれているウイルスが人から人へ接触感染を起こしていきます。潜伏期間2〜4日を経て、発熱、下痢、嘔吐といった症状がでて、嘔吐は2〜3日程度で治りますが、下痢からは白っぽい下痢が見られることが特徴です。

完治までは3〜8日ほどかかります。治療薬はありませんが、脱水症状に気をつけましょう。

補足:白い色の下痢がこれらの症状に似ていることから、「乳幼児コレラ」と呼ばれることもあります。

ロタウイルスもアルコール除菌が効かないウイルスなので、幼保園では集団感染を起こしやすいです。

接触感染するので、嘔吐物や下痢の時の周りには次亜塩素酸水溶液を使用したスプレーで対応することをオススメします。

ロタウイルスの予防接種ワクチンは、ロタリックス(GSK、2011年〜)と、ロタテック(MSD、2012年〜)の2種類があり、世界と同程度の予防効果があることが分かっております。

みんなかかる可能性が高いので症状を軽減させるためにもち早めにやっておくにこしたことはありませんね。

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)ウイルス性感染症

●任意接種

唾液腺というあごの下が炎症を起こして膨れ上がることから通称「おたふく風邪」(Mumps)と呼ばれます。

国立感染症研究所によると、2017年の1〜9月末までの定点の医療機関からの報告では、日本で65503件発生していますが、実際の数字はもっと増えます。

おたふく風邪の原因ウイルスはムンプスウイルスです。潜伏期間として2〜3週間してから症状がでます。

症状として、耳の下の唾液腺の片側または、両側が腫れてしまいます。熱は出る場合とでない場合があります。

腫れていても痛くない場合があるので、学校に行く子もいますが、学校保険法にて、出席停止なので、病院にいきましょう。

元気になったからといって出席停止中は必ず守ってください。万が一、守らず他人にうつしてしまい、相手が難聴になってしまった責任はとれますか?アメリカでは、9日間隔離することになっています。

感染ルートはせきやくしゃみを通して飛沫感染、接触感染をして、口や鼻からのどにかけて侵入します。

注意:おたふく風邪に空気感染はありません。

おたふく風邪にも予防接種がオススメ

確率は低いですが、合併症で脳症、髄膜炎、難聴があるので任意接種の予防接種ですが、決して甘くみないほうがいい感染症です。

こちらもはしか同様に、1度感染すると体内に抗体ができるので、2度発症することはありません

日本では90%以上が10歳未満で感染しますが、思春期以降に感染すると精巣炎や卵巣炎を併発する場合があります。

疑問:日本でおたふく風邪になる年齢は、0〜4歳約47%、5〜9歳45%、10歳以上8%の割合です。

国立感染症研究所によると、予防接種の有効性については、接種後の罹患調査にて、接種者での罹患は1 ~3%程度であったとする報告があります。

接種後の抗体価を測定した報告では、多少の違いがありますが、約90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとしています。

ムンプスウイルスの予防はやはり予防接種が一番有効な手段と言えます。

予防接種後の元気な子供

幼保園で水ぼうそう(水痘)の症状がある子がいる時の対処

保育園や幼稚園で水ぼうそうの流行があるときには、他のワクチンの接種は控えることをおすすめします。水ぼうそうに感染すると体の免疫力が低くなることとワクチンによる副反応が強く出る可能性が高くなります。

水ぼうそう、風疹、おたふく風邪、麻疹(はしか)に感染した後1ヶ月間は他の予防接種を受けることができません。(抗体がつかない可能性があるため)

しかし、他の感染症も同様に流行った場合で急を要する場合があるとは思います。その場合には医師の指示に従ってください。

まとめ

今では、予防接種は義務接種ではなく、努力接種となっていて、推奨となっています。

→重症化する感染症予防のためのワクチン接種の歴史から現在の現状についてはこちらから

まずは、病気になるとどのような不利益を被るのか知ることが予防するための第1ステップだと思います。

そして、ワクチンの副作用について考えて定期接種のみでなく、任意接種もできれば受けることをオススメします!

・この記事に記載した定期接種A類疾病一覧

ヒトパピローマウイルス、麻疹(ましん、はしか)、風疹(ふうしん)、水痘(みずぼうそう)、ポリオ、B型肝炎、日本脳炎、結核、ジフテリア、百日せき、破傷風

補足:その他定期接種A類疾病のインフルエンザ菌と肺炎球菌は別記事にまとめました。

→インフルエンザ菌と肺炎球菌のワクチンについての詳細はこちらの記事からどうぞ!

・この記事に記載した任意接種一覧

ロタウイルス、ムンプスウイルス(おたふく風邪)

以上、【まとめ】主な定期予防接種と任意ワクチン接種でどんな病気を予防できるかの記事をご紹介しました。