赤ちゃんを守るために予防すべき妊娠中(妊婦さん)の感染症について

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妊娠中にウイルスや細菌などの病原体に感染するとお腹の中の胎児や生まれてきた赤ちゃんに影響を及ぼす可能性がある感染症がいくつもあります。

赤ちゃんに影響があることを知らないで後悔してもしきれません。そのため、妊娠中には特に感染しないための予防をするべきです。妊娠中には、問診、検査計測、保健指導をはじめとした妊婦健康診査を妊娠時期に合わせて14回ほど行います。

また、必要に応じて血液検査、超音波検査、子宮頸がん検査、細菌やウイルスの感染症の検査などの医学的検査も医師の判断により行われます。

妊婦健康診査では赤ちゃんや妊婦さんの検査だけでなく、日常生活、食事、出産、育児などさまざまなことを相談する機会でもあります。

参考厚生労働省「妊婦健診」

そこで、今回は妊娠中に気をつけるべき感染症とその予防対策ご紹介します。

Contents

妊娠中に気をつけるべき感染症の一覧

妊婦感染症予防

妊婦から胎児に感染することを「母子感染」と呼びます。お母さんにもともと感染している場合や、妊娠中に感染する場合があります。

母子感染は、3つの感染経路があり、胎児がお腹の中で感染する「胎内感染」、分娩が始まり産道を通過中に感染する「産道感染」、母乳から感染する「母乳感染」があります。

妊婦健診にてしっかり検査してもらうことと、きちんとした知識を知ることで予防対策をすることができます。大まかに分類していますが、分類によってはまたがっている感染症もあります。

下記の感染症について別ページにてまとめました!

詳しくはこちらから→【まとめ】母子感染を起こす感染症について〜妊婦さんは予防を!

・ワクチンで予防できる感染症

風しん(ふうしん)

麻しん(はしか)

インフルエンザ(ワクチンはありますが、風疹や麻疹とは異なり完全に防ぐことはできません)

水痘(水ぼうそう)

流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

・主に性行為による感染症

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

梅毒

性器クラミジア感染症

HTLV-1感染症(ヒトT細胞白血病ウイルス-1型)

性器ヘルペスウイルス感染症

B型肝炎

C型肝炎(ごく稀に起こります)

・食事からくる感染症

リステリア症

トキソプラズマ症

・その他の感染症

サイトメガロウイルス感染症

伝染性紅斑(リンゴ病)

B群溶血性連鎖球菌感染症(GBS)

ジカウイルス感染症

子どもに関する学会が推奨する5つの感染症予防対策について

感染症を防ぐ妊婦

1 妊娠前または産後にワクチンを接種!妊娠中は家族がワクチンで予防をする

妊娠は本人が注意するだけでなく、同居の家族も協力する必要があります。

風しん、はしか、水ぼうそう、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)はワクチンで事前に予防することが可能です。

補足:妊娠中に水ぼうそう、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の感染の赤ちゃんへの影響はまだ分かっていません。

しかし、妊娠中はワクチンを接種することはできないため、妊娠を希望する前に抗体化を調べて接種しましょう。事前にできていない場合は、産後ワクチンを接種しましょう。

補足:妊娠中でもインフルエンザ不活化ワクチンは安全性が証明されています。

特に風しんは、妊娠中に感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)を起こすことがあります。2012〜2014年の間には45例あり、2015〜2017年には報告はありません。

参考赤ちゃんのために知っておくべき風しんと先天性風疹(ふうしん)症候群について

補足:先天性風疹症候群になった場合、視力障害、聴力障害、心臓障害、糖尿病、自閉症、甲状腺機能不全など、命を脅かす身体障害を患う可能性があります。

そのため、同居の家族には、風疹と麻疹の混合ワクチン(MRワクチン)を接種することをオススメします。

MRワクチンを接種するその他の理由として、妊娠中に麻疹に感染すると流早産になる可能性があること、若者の麻疹抗体保有率が低いことが挙げられます。

自分が病気にならないため、健康を保つため、将来の自分の胎児を守るため、また周囲にいる妊婦とその胎児に感染させないためにも、ワクチンを打ちましょう。

2 手洗いを徹底する

手洗いに始まって手洗いに終わるというほど感染症予防には不可欠です。手洗いをするタイミングとして下記に記します。

・帰宅した時

・人が集まるところに長時間いる時(オフィスなど不特定多数がいる場所ではインフルエンザやノロウイルスなど流行しやすい時期にはこまめに手洗いを)

・トイレに行った後

・食事の前

・お肉などを調理する時

・ガーデニングをした後

・赤ちゃんのオムツ交換の後

・ペットの動物に触れたり、糞尿を処理した後

ガーデニングやペットの糞尿の処理の時には使い捨ての手袋を着用するとより効果に予防できます。また、手洗いの後や外出時には次亜塩素酸水溶液を使った除菌剤も活用するとより効果が高くなります。

3 体液や人との接触に注意をする

人やペットの尿、唾液、体液などには感染の原因となる菌やウイルスが含まれている可能性があります。

飲み物の口をつけた回し飲みや、食べ物の口移しも避けてください。できれば、家族内でタオルの共有も避けたほうがいいです。妊娠中での性行為にはコンドームを着用し、オーラルセックスは控えてください。

4 生物はしっかりと加熱してから食べる

生肉(レアやミディアムレア)、生ハム、ソーセージなど普段そのまま食べていますが、加熱を加えない場合、妊娠中は控えましょう。また、生魚も同様です。生野菜はしっかり洗ってから食べてください。

5 不特定多数の人混みは避けること

麻疹、インフルエンザなどの飛沫で感染する病気が流行している時はもちろんですが、妊娠中は人混みを避けてください。外出時にはマスクを着用しても防ぐことはできません。

子どもは免疫が不十分なため感染症にかかりやすく、そこから妊婦中のお母さんに2次感染することが多いです。

参考家族や子どもにインフルエンザを2次感染させないための予防方法

妊娠中の子育てで子どもの体調が悪いときにはできれば実家で看病し(協力できる親族がいる場合)、隔離して妊婦さんは介抱しないようにしましょう。

引用日本周産期・新生児医学会、日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会「赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5か条」

まとめ

妊婦さんと赤ちゃんどちらも感染症にかからないために感染してから治療するのではなく、まず予防することを第一にすることをオススメします。

予防対策のためには、手洗い、次亜塩素酸水溶液の除菌剤の活用、十分に加熱をして食事を取る、妊娠中の性行為にはコンドームを使用する、ワクチンをなるべく接種する、人混みを避けるなどを心がけてください。

妊婦さん本人、家族、赤ちゃんの幸せのためにもできる手段は講じる方がいいのではないのでしょうか。

以上、赤ちゃんを守るために予防すべき妊娠中(妊婦さん)の感染症についてご紹介しました。